ヴェネツィア金獅子賞『彼方から』結末の真相と最新配信を解剖
本作の緊迫感を決定づけているのが、製作・共同脚本に名を連ねるギレルモ・アリアガ(Guillermo Arriaga)の存在だ。『アモーレス・ペロス』や『バベル』で知られるメキシコの巨匠が持ち込んだのは、複数の感情が交錯する緻密なプロット構造である。
本作は表面上、性的マイノリティの葛藤を描いたクィア・シネマ(LGBTQ+映画)の文脈を帯びている。しかし、物語が進むにつれてロマンスの甘さは剥ぎ取られ、張り詰めたサスペンス・スリラーの様相を呈していく。アルマンドがなぜエルダーに執着したのか。そして、時折遠くから監視している裕福な老人は何者なのか。散りばめられた謎のピースが、観客の心拍数をじわじわと上げていく。