丸山真男『日本の思想』徹底解剖!タコツボ化する日本の深層病理とは
丸山眞男の思想的特徴を語る上で欠かせないもう一つの重要概念が、後年の著作でも深められた「執拗低音(バッソ・オスティナート)」です。
バッソ・オスティナートとは、楽曲の底流で同じ音型が執拗に反復され続ける通奏低音を意味する音楽用語です。丸山は、日本人の精神構造の奥底には「古層」とも呼ぶべき独自の感性・思考パターンが強固に横たわっていると論じました。
日本は歴史上、儒教、仏教、キリスト教、マルクス主義、アメリカ流リベラリズムなど、あらゆる強力な外来思想を受け入れてきました。しかし、それらの思想が本来持っていた過激な批判性や論理的厳密さは、水面下に響き続ける「執拗低音」の波に呑み込まれ、いつの間にか「なんとなく情緒的で現世肯定的な、角の取れた日本風の思想」へと無害化・変質させられてしまいます。
どんなに崇高な理想や新しいイノベーションを海外から導入しても、運用する側の無意識の基盤(古層)が変わらない限り、形骸化して骨抜きにされる――。この指摘は、表層的な制度改革や横文字のフレームワークばかりを導入して本質が変わらない現代の組織改革に対する、痛烈な急所攻撃となっています。