舞台と特撮に刻んだ圧倒的存在感、俳優・窪寺昭が遺した魂の軌跡
なぜ彼は、これほどまでに観客を魅了し、演出家や共演者から絶大な信頼を寄せられたのか。その真相は、徹底した現場での美学と、周囲を包み込む温かな人柄にあった。所属したヒラタオフィスの関係者や、現場を共にした俳優陣が口を揃えるのは、彼の「立ち姿の美しさ」へのストイックな探求だ。
稽古場では誰よりも早く殺陣の手順を身体に叩き込み、自分の出番でない時も若手俳優たちの動きをじっと見守っていたという。ある舞台の舞台裏では、緊張で硬くなっていた後輩俳優の肩をそっと叩き、「舞台の上では、お前が一番強いと思って立てばいい」と静かに微笑みかけたというエピソードも残る。華やかなスポットライトの裏で、泥臭い努力を決して人に見せず、常に作品全体のクオリティを高めることだけに全神経を注ぐ。その職人とも言える矜持こそが、観る者の胸を打つ存在感の源泉だった。