消えゆくダイエー閉店ラッシュの真相と跡地再開発の全シナリオ
時計の針を半世紀ほど巻き戻すと、そこには流通革命の旗手として日本中を熱狂させた創業者・中内㓛の姿がある。衣食住のすべてをひとつの巨大なビルで網羅するGMS(総合スーパー)という業態は、戦後の日本において豊かさそのものの象徴だった。メーカー主導の価格決定権を打ち破り、消費者に安さを還元するダイエーの手法は、まさに日本の小売業のあり方を根底から覆した。
だが、時代は容赦なく移ろう。1階で食料品を買い、2階で衣料品を選び、3階で家電や日用品を揃えるというワンストップの利便性は、専門店チェーンの台頭とインターネット通販の普及によって急速に色あせていった。ユニクロやニトリ、ドラッグストアがそれぞれのカテゴリーで圧倒的な専門性と価格競争力を発揮するなか、何でも揃うはずだった巨艦店舗は「何ひとつ尖った強みがない施設」へと変貌してしまった。
バブル崩壊後の過剰債務、時代の潮流との乖離、そして加速する人口減少。かつて日本一の売上高を誇った巨人は、構造的なビジネスモデルの疲弊という巨大な壁に直面し、長い苦闘の時代へ突入することになった。