熊は人を食べるのか?相次ぐ人身被害の深層と遭遇時の生存ルール
日本に生息するヒグマとツキノワグマは、分類上は食肉目でありながら、実態は極めて植物食傾向の強い雑食動物だ。特に本州に生息するツキノワグマの食性は年間を通じて8割以上がブナやミズナラの実、草の若芽、アリなどの昆虫で占められている。北海道の原野を支配する大型のヒグマであっても、季節のフキやセリ、ヤマブドウ、そして秋のドングリやサケ・マス類が栄養源の柱となる。
熊が人間を攻撃する理由の約8割は、突然の遭遇に驚いた個体による「防衛攻撃(パニック)」や「子グマを守る母熊の威嚇」だ。獲物を狙う狩りではなく、自らの身を守るための反射行動にすぎない。だが、残りのわずかな割合で発生するのが、純粋な捕食目的の「食害」である。重度の栄養失調に陥った個体や、人間の死体に偶然遭遇してその味を学習した個体は、警戒心を完全に喪失し、人間を「動きの遅い格好の獲物」として再定義してしまう。