熊の主食は肉じゃない?人里出没の裏に潜む真の栄養源と最新生態
熊の1年は、季節がもたらす恵みに合わせた見事なフードカレンダーで動いている。冬眠から目覚めた春、彼らが真っ先に口にするのは消化の良いブナの新芽や雪解け直後の若草だ。冬眠で縮んだ消化器官を慣らすかのように、瑞々しい繊維質を摂取して体を立ち上げていく。
初夏から真夏にかけては、アリやハチなどの昆虫類をつまみつつ、キイチゴ類やミズキの実を貪る。そして迎える運命の季節が秋だ。冬眠中の数ヶ月間、飲まず食わずで生命を維持するため、熊は「過食期」と呼ばれる猛烈な食欲のピークに突入する。この時期の絶対的な主食となるのが、堅果類(ブナ・ミズナラ・ドングリ)である。
脂肪分と炭水化物に富んだこれらのドングリ類を、熊は1日に数千個単位で食べ尽くす。樹上に「クマ棚」と呼ばれる折れた枝の座布団を作り、器用に実をむしり取っては腹に収める。この秋のドングリの豊凶こそが、個体の越冬成功率や翌年の出産率をダイレクトに左右する生命線なのだ。