伊東四朗「ニン!」ポーズ誕生秘話と喜劇王が魅せる表現力の真髄
伊東四朗のコメディアンとしての原点を語る上で欠かせないのが、三波伸介、戸塚睦夫と共に一世を風靡したトリオユニット『てんぷくトリオ』だ。昭和の演芸界において、彼らが繰り広げるテンポの良いコントは一瞬の隙も許されない真剣勝負の場であった。
激しい掛け合いの中で磨かれたのは、相手の言葉を受けてから返すまでの「コンマ数秒の間」である。ボケとツッコミの絶妙な間合いを身体で覚えた経験が、後に彼がソロとして見せる「ニン!」のポーズや表情の溜めに生かされることとなった。舞台の上で客席の空気を一瞬で察知し、その場に合わせた最高の演技を繰り出す力。それこそが彼のコント人生で叩き込まれた最高峰の技法であった。