医療の常識を覆す「白衣のない病棟」――超高齢社会の2026年、町田の丘で見つけた救い
病室に入って最初に気づくのは、医師や看護師が白衣を着ていないことだ。私服に近いナチュラルな装いが、患者との物理的・心理的な壁を瞬時に取り払う。医療機器が前面に押し出された殺風景な部屋ではなく、温かみのある木目調の家具や季節の生花が配置された空間。そこには「病人」として扱われる居心地の悪さがない。
「病院に入院した途端、認知症の症状が一気に進んでしまう」。そんな家族の悲鳴を、この病院は長年真摯に受け止めてきた。生活のリズムを壊さず、これまで生きてきた文脈を遮断しない。設備や環境のディテール一つひとつに、患者の不安を和らげる緻密な工夫が凝らされている。