役所広司を名優へ導いた妻・河津左衛子との絆と現在の素顔に迫る
近年の役所の躍進は、もはや円熟という言葉だけでは片付けられないほどの熱量を帯びている。ヴィム・ヴェンダース監督がメガホンを取った映画『PERFECT DAYS』において、役所は東京・渋谷の公衆トイレ清掃員・平山役を熱演。第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を獲得し、世界中の映画人を唸らせた。台詞を極限まで削ぎ落とし、眼差しと佇まいだけで人間の尊厳を描き切ったその演技は、世界最高峰の賛辞を浴びた。
さらに、社会現象となったTBS日曜劇場『VIVANT』での圧倒的な重厚感、そして世界同時配信されるNetflixオリジナル作品群への参加など、媒体の垣根を軽やかに越えて挑戦を続けている。世界的巨匠たちとの現場や巨大プロジェクトに挑む際も、役所の精神的支柱であり続けるのは家庭の静けさと妻の変わらぬ眼差しだ。過密なスケジュールと重圧のなかで、地に足のついた日常を守り抜く河津の献身が、彼の無限の表現力を支えている。