伝説の時代劇『御家人斬九郎』のキャストが今なお熱狂を呼ぶ理由——渡辺謙と名優たちが刻んだ時代劇最高峰のドラマ性
主役の松平斬九郎を演じた渡辺謙の存在感は、今振り返っても破格だ。渡辺が演じた斬九郎は、名門の家柄でありながら三十両三人扶持という極貧の無役の身分。大酒を食らい、大食漢で、内職の傘張りを嫌がり、手っ取り早く金を稼ぐために危険な「かたづけ仕事(裏の暗殺・用心棒稼業)」を引き受ける。
しかし、渡辺謙の凄みは、単なる無頼漢に終わらせない品格と悲哀、そして圧倒的なアクションのキレにあった。豪快に太刀を振るうダイナミックな殺陣の合間に見せる、ふとした表情の陰りやコミカルな間合い。彼が放つ圧倒的な熱量こそが、シリーズ全5期にわたる長寿番組の強力な推進力となったことは疑いようがない。