伝説のカルト作『ロビンソン の 庭』長崎俊一の描く衝撃と真実
作品に揺るぎない生命力を吹き込んだのが、主演を務めた太田久美子の圧倒的な演技だ。彼女が演じる主人公・クミは、社会の規範から滑り落ち、夜の街を彷徨った末に打ち捨てられた廃墟へと辿り着く。
キャベツの種を蒔き、壁画を描き、夜空の下で全霊のダンスを舞う。太田の肉体から放たれる生々しいエネルギーは、フィクションとドキュメンタリーの境界線を曖昧にしていく。演技を超えた真に迫る表情に、当時の観客は息をのんだ。
特に伝説として語り継がれるのが、月光が差し込む廃墟の部屋で彼女が緑の植物と戯れる幻想的な名場面だ。撮影現場では長時間の粘り強い粘りが要求され、極限状態の緊張感の中であの一瞬の美しさが切り取られたという。奇跡的とも言える光のレイアウトは、映画史に残る美しさを誇っている。