昭和の歌姫・宮城まり子の光と影!ねむの木学園に捧げた真実の魂
1950年代、戦後日本の風景を鮮烈に切り取った大ヒット曲が『ガード下の靴みがき』だった。靴墨で手を汚しながら必死に生きる戦災孤児の少年を、宮城は鼻にかかったハスキーな歌声と豊かな情感で歌い上げた。単なる流行歌にとどまらず、貧困や孤独に喘ぐ庶民の心に寄り添うアンセムとなったこの曲は、昭和歌謡の歴史に太い爪痕を残している。
彼女自身、決して恵まれた出自ではなかった。幼少期に母を亡くし、兄たちとともに旅回りの劇団や舞台で喉を枯らして日銭を稼ぐ日々。貧しさの痛みを知る者だけが宿せる凄みが、その表現には宿っていた。コミカルな演技で観客を沸かせる喜劇女優でありながら、舞台袖に戻ればどこか影を帯びた眼差しを崩さない。その繊細な感性が、やがて彼女の運命を大きく舵転させる契機となった。