昭和の銀幕を魅了した青山京子の波乱生涯と鶴田浩二の秘めた愛
引退後、公の場に姿を見せることがほとんどなかった青山だが、その素顔は女優・ジャズシンガーとして活躍する実娘・鶴田さやかの言葉を通じて温かく浮かび上がってくる。家庭内での母は、常に穏やかでユーモアを忘れず、子どもたちに対して無償の愛情を注ぐ存在だったという。
「母は一度として女優に戻りたいと言ったことはありませんでした」――さやかが振り返るように、自らの決断に誇りを持ち、家族の幸せを最優先にした生き方は清々しいほど潔いものだった。偉大な父の影に隠れることなく、自らの意志で家庭という砦を築き上げた母への敬意は、娘の歌声や語り口の随所から今も確かに感じ取ることができる。