昭和の伝説が交差した夜:赤木圭一郎と美輪明宏が秘めた銀幕の真実
美輪明宏を語る上で欠かせない作家・三島由紀夫の存在も、この時代の文化的磁場を象徴している。三島が美輪のために戯曲化した名作『黒蜥蜴』に代表されるように、この時代には「完璧な美」と「破滅の予感」が同居する独特の美意識が充満していた。
赤木圭一郎の佇まいにも、どこか三島文学に通じる刹那的な輝きがあった。鍛え上げられた肉体、憂いを帯びた彫りの深いマスク、そしてどこか現世に執着していないような眼差し。美輪や三島が追求した「もっとも美しい瞬間に凍結された生」を、赤木は図らずも自らの運命によって体現してしまうことになる。
1961年2月、日活撮影所内での不慮の事故により、赤木は21歳という若さで帰らぬ人となった。その突然の死は、昭和という時代が抱えていた過剰なエネルギーの代償であったかのようだ。美輪が舞台で描き続けた無常観と美の絶対性は、赤木の早すぎる旅立ちによって、残酷なまでの現実味を帯びることとなった。