直木賞作家・朝井リョウのエッセイ全解剖!腹筋崩壊の秘話に迫る
朝井リョウという作家の面白さは、作品の「落差」にある。『何者』で痛切な現代人の自我を描き出し、『正欲』で読者の価値観を根底から揺さぶった人物が、同じ手で便所での冷や汗もの体験を真面目に綴っているのだ。この振り幅こそが出版業界でも稀有とされる理由である。
編集者たちの証言によれば、過酷な小説執筆の合間に書かれるエッセイこそ、彼にとっての精神の解放区であり、同時に「言葉の実験場」でもあったという。小説で追求する重厚な人間心理の裏返しとして、エッセイでは人間のマヌケさや愛おしさが爆発する。この双方向の循環が、彼のクリエイティビティを支えるエンジンなのだ。