中谷美紀を魅了した世界的奏者ティロ・フェヒナーの現在地と真実
伝統的なクラシック音楽の枠組みに安住しないのが彼の真骨頂だ。ウィーン・フィルとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の精鋭たちが結成した型破りなアンサンブル「フィルハーモニクス(Philharmonix)」において、彼は中心的な役割を担っている。
彼らが奏でるのは、古典的な名曲だけではない。ジャズ、クレズマー、ラテン、果てはロックやポップスまでを独自の高度なアレンジで呑み込む。タキシードを脱ぎ捨て、クラブのような熱狂を巻き起こすステージは、従来のクラシック音楽界に強烈な衝撃を与えた。「退屈なクラシックを面白くするのではない。上質な音楽には本来境界線など存在しないのだ」という彼らのステートメントは、室内楽の新たな可能性を切り拓き、世界中の若い世代を熱狂させている。