竹内力が生んだ萬田銀次郎の凄み!金と欲望が暴く不朽の名作秘話
銀次郎という男は、単なる冷血漢ではない。情に流されて借金をチャラにすることは絶対にないが、誠実に生きようとして騙された人間には「生き直すための知恵と機会」を与える。この極端なまでの筋の通し方こそが、ピカレスクロマンとしての美学を担保していた。
そして何より、竹内力の身体表現が凄まじい。相手を値踏みするような視線の走らせ方、顎を僅かに引きながら喉の奥を鳴らす独特のセリフ回し、仕立ての良い派手なダブルのスーツを着こなす威風堂々たる歩き姿。言葉以上に肉体が「ミナミの掟」を雄弁に語っていた。観客は恐怖しながらも、その揺るぎない力強さに陶酔したのだ。