最後の晩餐でユダはどれ?天才ダ・ヴィンチが仕組んだ見分け方
イタリア・ミラノに佇むサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会。その敷地内にある旧ドミニコ会修道院の食堂に描かれた本作は、フレスコ画ではなくテンペラと油彩を混ぜた実験的手法で描かれた。湿度に弱く、完成直後から劣化が始まったという悲劇的な宿命を背負いながらも、今日まで奇跡的にその姿を留めている。
ダ・ヴィンチが挑んだのは、従来の宗教画にあった平面的で退屈な聖人図の破壊だった。登場人物全員に伝統的な後光(光輪)を描かず、生身の人間としての感情、筋肉の収縮、視線の交差を完璧な透視図法の中に閉じ込めた。修道僧たちが日々食事をとる空間に、まるで目の前で歴史的事件が起きているかのような圧倒的イリュージョンを創り出したのである。