伝説の出版劇から歳月を経て——『菅野 美穂 写真 集』が今なおメディア史の金字塔であり続ける理由
1997年11月、日本の出版界と芸能界に激震が走った。若手清純派女優として順風満帆なキャリアを歩んでいた菅野美穂が発表した写真集『NUDITY』。発行部数は瞬く間に80万部を突破し、全国の書店から姿を消すという異例の事態を引き起こした。単なるグラビア写真集の枠を完全に踏み越え、連日テレビのワイドショーや新聞のコラムで議論が交わされる社会現象へと発展したのである。
緊急開催された記者会見で見せた彼女のまっすぐな眼差しと、自らの表現に対する揺るぎない言葉。それは大衆がそれまで抱いていた「受動的なアイドル像」を打ち砕くのに十分だった。時代の要請に応じるのではなく、自らの足で新たな表現の扉を開け放った瞬間の記録として、この一冊は日本のポピュラーカルチャー史におけるターニングポイントとなった。