摘便とは?介護職ができる範囲や安全手順・命に関わるリスクを徹底解説
摘便は一見単純な処置に見えますが、一歩間違えると生命危機に直結する重大なリスクをはらんでいます。特に警戒すべきなのが「迷走神経反射」と「直腸穿孔(せんこう)」です。
直腸や肛門部には自律神経が豊富に分布しています。指による強い刺激や急激な便塊の移動によって迷走神経が過剰に興奮すると、心拍数が急低下し、末梢血管が拡張して急激な血圧低下を招きます。これが迷走神経反射の症状と予防における最重要チェックポイントです。
処置中に以下のような兆候が現れた場合、迷走神経反射を疑い、直ちに処置を中断する必要があります。
・急激な顔面蒼白、冷汗
・あくびの頻発、嘔気、めまい
・徐脈(脈拍50回/分以下への低下)、血圧低下
・意識混濁、失神
また、硬化した便を力任せに掻き出そうとしたり、爪を立てて操作したりすると、直腸粘膜損傷と穿孔リスクが跳ね上がります。直腸壁に穴が開く直腸穿孔を起こすと、腸内細菌や便が腹腔内に漏れ出し、急性汎発性腹膜炎や敗血症を引き起こして命を落とす危険性があります。