学費免除の裏にある使命、自治医大が示す地域医療崩壊への処方箋
一般の私立医科大学であれば6年間で数千万円にのぼる学費が、自治医科大学では事実上全額免除される。その根幹にあるのが「地域医療修学資金貸与制度」だ。入学金から授業料、さらには生活支援金に至るまでが貸与され、卒業後に指定された公的医療機関などで9年間勤務すれば返還が完全に免除される仕組みとなっている。
文部科学省と厚生労働省がタッグを組む国策的な枠組みであり、全国47都道府県が均等に資金を拠出して運営を支える。しかし、この「9年間」は決して平坦な道のりではない。卒業直後から出身県の医療行政の意向に従い、医師不足にあえぐ山間部や離島の診療所へ赴任するケースも多い。キャリア形成の最も柔軟な20代から30代前半を地域枠の縛りの中で過ごすことに対し、現場の若手医師の間でも葛藤が生じる瞬間は少なくない。