表現者・伊藤万理華の狂気と静寂、映画界を惹きつける唯一無二の引力
映画での熱狂的なアプローチの一方で、テレビ東京のドラマ『お耳に合いましたら。』で見せた繊細な日常描写もまた、彼女の底知れなさを物語る。チェーン店グルメへの偏愛をポッドキャストで語り明かす主人公・美園役において、彼女は過剰なドラマツルギーを排した「素の心地よさ」を提示してみせた。
咀嚼音、ためらいがちな視線、マイクに向かって言葉を紡ぐ際の声の揺らぎ。TVerなどの見逃し配信でも大きな支持を集めた本作は、彼女が持つ声のトーンの美しさと、日常の微細な感情をすくい取る身体性の豊かさを証明する契機となった。