池脇千鶴の演技はなぜ観客を圧倒するのか?怪演とリアルの全貌
池脇千鶴の名を映画史に決定づけた金字塔といえば、不朽の名作『ジョゼと虎と魚たち』を外すことはできない。足の不自由な少女・ジョゼという難役に対し、彼女は同情を誘うようなクリシェを一切拒絶した。毒舌で、どこかふてぶてしく、それでいてガラス細工のように脆いジョゼの心象風景を、鋭い眼差しと独特の関西弁で鮮烈に具現化してみせた。
乳母車に包丁を忍ばせて世間を睨みつけていた少女が、他者と出会い、愛を知り、そして一人で生きていく決意を固めるまでのグラデーション。魚の泳ぐ幻影を見つめる静かな横顔は、公開から長い年月が経過した現在でも色褪せることなく、多くの映画ファンの胸を締め付け続けている。