福岡大ワンゲル部ヒグマ事件の真実|残されたメモ全文と恐怖の記録
ヒグマがこれほどまでに執念深く人間を追い続けた背景には、野生動物の習性に起因する明確な理由が存在していました。事件の経緯を時系列で辿ると、致命的な分岐点となった行動が浮かび上がります。
7月25日夕刻、部員たちのテントに現れたヒグマは、外に置かれていたキスリング(登山用大型ザック)を漁り、中の食料を食べ始めました。部員たちは音を立てて一度はヒグマを追い払うことに成功し、奪われたザックを取り返してテント内に引き入れました。
しかし、ヒグマの習性として「一度自分のものと認識した獲物・所有物への執着心が極めて強い」という特徴があります。ヒグマにとって、人間側がザックを取り返した行為は「自分の獲物を横取りされた」と認識され、強い敵対心と執着のスイッチを入れてしまったのです。
その夜、ヒグマは再びテントを急襲し、布地を引き裂いて内部を荒らし始めました。部員たちは恐怖の中でテントを脱出。近隣に幕営していた別の山岳会パーティーのテントへ一時避難したものの、翌27日早朝、下山を開始したところで待ち伏せしていたヒグマに再び襲われることとなりました。