『ゲド戦記』クモの性別と正体を考察!原作との違いと恐怖の真実
中性的な顔立ち、細身の体躯、そして低く響く妖艶な声。映画を初めて見た人が最も戸惑うのが、クモの性別だろう。結論から言えば、作中におけるクモは「男性」である。しかし、化粧を施したような面立ちやドレープの効いた衣装が、意図的にその性別を曖昧に見せている。性別の境界さえも曖昧なその姿こそが、常人離れした異界の存在であることを強調しているのだ。
では、なぜクモはそこまでして不老不死を追い求めるのか。その根底にあるのは、純粋にして圧倒的な「死への恐怖」だ。かつてハイタカによって黄泉の国の扉を閉じられ、禁断の魔法を奪われた過去を持つクモは、生きながらにして黄泉の国と現世を繋ぎ、自らの永遠の生命を得ようと画策する。死を受け入れられない歪んだ欲望が、アースシーの世界全体の均衡(バランス)を崩し、作物や家畜の死滅、言葉の喪失といった災厄を引き起こしていたのである。