鬼舞辻無惨の娘の正体とは?浅草編で語られなかった血縁と恐怖の狙い
作者の吾峠呼世晴が本作で一貫して描き続けたのは、絶対的な悪が持つ底知れぬ冷酷さだ。一般的な少年漫画であれば、擬態であっても家族との触れ合いを通じて改心する兆しや、僅かな情の芽生えが描かれることもある。しかし、本作が誇る独自性の強いダーク・ファンタジーの世界観においては、そのような生ぬるい救済は一切用意されない。
集英社から刊行された原作コミックスや公式ファンブックを見ても明らかなように、無惨にとって人間は家畜や実験道具と同義である。浅草で少女を抱いていた際も、彼の頭の中にあったのは愛着ではなく、正体が露呈した際のリスク管理と逃走経路の計算のみ。その徹底した利己主義こそが、読者に強烈な恐怖と絶望感を植え付けた要因といえる。