鬼とは何者なのか?異形の怪物が映し出す日本人の深層心理と真実
毎年2月、日本中の家庭や寺社で響き渡る「鬼は外、福は内」の掛け声。親しみ深い年中行事である節分だが、そのルーツを辿ると、古代の人々が抱いた目に見えない災厄への切実な恐怖に行き着く。
語源の一説とされるのは、姿の見えないものを意味する「隠(おぬ)」や「隠(おん)」。疫病、飢饉、天変地異といった抗いようのない不条理を、古代人は姿なき霊的存在の仕業と考えた。そこに明確なヴィジュアルを与えたのが陰陽道である。北東の方角、すなわち邪気が集まる「鬼門」は十二支の「丑寅(うしとら)」に当たる。牛の角を生やし、虎の皮をまとう鬼の定型美は、古代の方位信仰と呪術的想像力が結実した産物だった。