名優・小林薫が魅せる円熟の境地!最新作の舞台裏と知られざる日常
日本映画界において、小林薫はまさに「言葉」と「沈黙」を最も巧みに操る俳優の一人といえる。森田芳光監督の傑作『それから』で見せた知的で屈折した佇まいは、日本アカデミー賞をはじめとする数々の映画賞で絶賛を浴び、彼の映画俳優としての地位を決定づけた。感情を声高に叫ぶのではなく、視線の揺らぎやわずかな口元の動きで内面を語るスタイルは、この時代にすでに確立されていた。
後年の名作『舟を編む』における辞書編纂の監修者・松本先生役でも、その真骨頂が遺憾なく発揮された。言葉の海を渡る情熱と、老境に入った学者の穏やかな気品を同居させ、物語に静かな感動と説得力を与えた。選び抜かれた日本映画の傑作群のなかで彼が残してきた足跡は、観客の心に長く残り続ける余韻そのものである。