母乳で育った子の将来はどう変わる?免疫と発達をめぐる最新科学
世界保健機関(WHO)や厚生労働省は、生後6カ月までの完全母乳育児を強く推奨している。これは地球規模での衛生環境の差異や乳幼児死亡率の低減を考慮した公衆衛生上の強力な指針である。しかし、このガイドラインが文脈を離れて一人歩きした結果、「母乳で育てなければ完璧な親ではない」という過度なプレッシャーを生み出してきた側面は否定できない。
母乳育児・乳幼児発達学の専門家や日本小児科学会は、科学的エビデンスを客観的に共有しつつも、母親を追い詰めるような言説に警鐘を鳴らしている。母乳の生物学的価値は疑いようがないが、現代の育児用粉ミルクも乳児が健やかに成長するために必要な栄養素を極めて高水準で満たしている。科学は誰かを裁くための道具ではなく、個々の家庭が無理のない育児を選択するための知識基盤でなければならない。