乳児のはちみつ死亡事故はなぜ起きた?ボツリヌス菌の猛威と予防法
大人や大きな子どもがはちみつを食べても何の問題もないのに、なぜ1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えてはダメなのでしょうか。その決定的な理由は、大人と赤ちゃんの腸内環境(マイクロバイオーム)の決定的な違いにあります。
大人の体内には無数の腸内細菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)が存在しており、ボツリヌス菌の芽胞が口から入っても他の常在菌との競争に敗れ、発芽・増殖することなくそのまま便として体外へ排出されます。胃酸の分泌も強力なため、菌に対する防御壁が完成しています。
一方で、生後1歳未満の乳児は腸内細菌叢が未発達であり、胃酸の酸度も弱いため、芽胞をブロックできません。赤ちゃんの腸管内に届いた芽胞は容易に発芽し、爆発的に増殖して自然界最強クラスとされる神経毒素(ボツリヌス毒素)を体内で直接作り出します。この毒素が神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害し、全身の筋肉を麻痺させてしまうのです。