『さくら』の鬼才・高野健一の現在地|名曲の裏側と革新音響の全貌
日本クラウンからリリースされた『さくら』は、単なる季節の風物詩ソングではなかった。小児がんで夭折した幼子への祈りにも似たリリックと、繊細極まりないピアノの旋律。ラジオの電波や口コミを通じて瞬く間に日本中へ伝播し、テレビの音楽番組や情報番組でも連日のように特集が組まれた。
多くのリスナーが涙した最大の理由は、作為を削ぎ落とした言葉の強度にある。誰しもが心に抱える喪失感や家族への想いを、赤裸々でありながら極めて美しいポエトリーとして昇華させた手腕。J-POPシーンに溢れていた類型的な桜ソングとは一線を画すその存在感は、時代が移り変わっても色褪せることはない。