さくらももこの素顔と幻の顔写真!なぜメディア露出を拒んだのか
雑誌のグラビアやワイドショーの取材に応じることなく、作品と文章だけで勝負を挑み続けた姿勢。そこには明確な意図が存在していた。
初期の『りぼん』連載時から、作者本人は「普通の生活者でありたい」という強い願望を抱いていた。街を歩いていても誰にも気づかれず、静かに買い物をし、喫茶店で人間観察に没頭する。日常の些細な出来事をすくい上げてユーモアに昇華させる彼女にとって、顔が世間に知れ渡ることは創作の源泉である「観察者としての自由」を奪われる危機に等しかったのである。
現存する生前のスナップ写真や関係者が保管するポートレートを見ると、そこには黒髪のショートカットに穏やかな眼差しをたたえた、小柄で知的な女性の姿が映し出されている。派手な自己主張を嫌い、素朴でありながらどこか芯の強さを感じさせるその表情は、彼女が描く自画像イラストの愛らしさと見事なまでに重なり合う。