三途の川体験の真相を追跡!脳科学が解き明かす死の淵のリアル
一方で、なぜ西洋人は「光のトンネル」を見つめ、日本人は「三途の川」のほとりに立つのかという疑問が残る。ここで重要になるのが、精神科医エリザベス・キューブラー=ロスが礎を築いた死生学のアプローチだ。彼女は終末期医療の現場で数多くの患者の看取りに立ち会い、人間が死を受け入れるプロセスと深層心理の構造を明らかにした。
脳が極限状態で生成する情動や体験のアーキテクチャ(構造)は全人類共通であるものの、それを翻訳して視覚化する際に、個人が幼少期から刷り込まれてきた文化的アーキタイプ(元型)が投影される。三途の川というシンボルは、仏教的世界観や昔話の記憶が、脳のパニック状態を和らげるための「解釈フィルター」として機能した結果なのだ。科学と文化、その双方が重なり合う結節点に、あの川は流れている。