三行半は妻を捨てる悪法か?古文書が暴く江戸時代の離婚の真相
正式な文書名を「離縁状」、あるいは「去状(さりじょう)」と呼ぶ。これがなぜ三行半と呼ばれるようになったのか。
理由は極めて形式的な慣習にある。当時の書式として、本文をきっちり3行でまとめ、4行目に日付と夫の署名(名前と爪印など)を半分ほどの高さで添えたことから、文字通り「3行と半分」のレイアウトが定着した。文面は驚くほど定型化されており、無用なトラブルを避けるための定型句が並ぶ。
「此度、我が意に任せ離縁仕り候。向後、他家へ縁付き候とも毛頭異議これ無く候」――。
要約すれば、「今回、こちらの都合で別れます。今後あなたが誰と再婚しようと文句は一切言いません」という簡潔明瞭な内容だ。余計な恨み言や離婚の原因を細かく書き連ねることはむしろタブーとされ、ただひたすらに再婚の自由を保証する文言だけが記された。