沈黙の掟が崩れる日:シチリア島マフィア現在地と新利権の実態
秘密結社コーサ・ノストラは、もはや古典的なみかじめ料徴収だけに頼ってはいない。彼らが触手を伸ばしているのは、EUからシチリア復興のために投じられる数千億円規模のグリーンリカバリー基金だ。広大な乾燥地帯に建設される太陽光発電所や風力発電パークの用地買収、建設資材の調達ルートに、フロント企業を通じて巧みに入り込んでいる。
表向きはクリーンなエネルギー事業でありながら、背後で莫大な利益が裏社会へと環流する。マネーロンダリングの手法も、スイスのオフショア口座から暗号資産や越境型電子決済へと移行した。暴力を行使すれば捜査機関の標的になる。だからこそ彼らは、一流の弁護士や公認会計士を顧問に雇い、法制の抜け穴を突くスマートなビジネスマンとして振る舞う。
貧困層が取り残される地域では、今なお彼らが「非公式なセーフティネット」として機能し、若年層の不満を吸収している現実も無視できない。