世界が熱狂する緻密な音響工作、稀代の表現者が語る覚悟と新境地
スタジオワークにおける彼の執念は、エンジニアの間でも伝説的に語り継がれている。ギターのストロークひとつを取っても、生演奏のダイナミクスを録音した後にデジタル上でミリ秒単位の解体を施し、アタック音とリバーブの減衰曲線を徹底的にトリートメントする。偶然生まれたノイズすらも緻密なグリッド上に再配置され、有機的な呼吸を帯びたエレクトロニカへと昇華される。
「コーネリアスのトラックには無駄な周波数が1ヘルツも存在しない」。かつて共同作業を行ったマスタリングエンジニアはそう証言する。アナログテープの温もりとデジタルの冷徹な精度。相反するふたつの要素をひとつのキャンバスに共存させる職人芸こそが、リスナーの脳内に直接シナプスを繋ぐような快感をもたらす真髄だ。