誰より好きなのに誕生の舞台裏とは 古内東子が描く大人の恋愛論
世界的なシティ・ポップの再評価ブームのなかで、彼女の初期作品が海外のDJやリスナーから注目を集めるケースも増えた。だが、彼女の音楽を単なるレトロな都市型ポップスとして括るのは早計だ。彼女の根底にあるのは、70年代から80年代の良質なAORやソウルミュージックを血肉化した、極めて骨太なソングライティングである。
キャッチーなフックだけで勝負するのではなく、ヴァースからコーラスへと至るドラマティックなコード進行、絶妙なテンションコードの配置によって、聴き手の胸を締め付ける。流行のスタイルを模倣するのではなく、普遍的なポップスの構造美を追求し続けてきた孤高のシンガーソングライターだからこそ、一過性のブームに消費されることのない強靭な生命力を持っている。