X Japan「ラスティ ネイル」熱狂の裏に秘めた悲痛な叫び
本作の誕生は、バンドにとって極めて過酷な過渡期と重なる。名実ともに日本の頂点へ上り詰めたX JAPANが、世界進出という壮大な壁にぶつかり、ロサンゼルスのスタジオで暗中模索を続けていた時期だ。リーダーのYOSHIKIは、完璧な音像を求めて自らの肉体と精神を極限まで追い詰めていた。妥協を一切許さないレコーディングは数カ月におよび、テイクの数は天文学的な数字に達したという。
ワーナーミュージック・ジャパンから放たれたこのシングルは、後に名盤『DAHLIA』の核となる楽曲だが、その制作過程は狂気そのものだった。クラシック音楽の構築美と、暴力的なまでのスピード感。相反する二つの要素を融合させるため、ピアノのコード進行ひとつに数日が費やされた。美しさと激しさが同居する独特のドライブ感は、まさに創作者の命を削るような執念から絞り出されたものだ。