「揺れるまなざし」真行寺君枝の現在 銀幕を去った理由と素顔
真行寺君枝の女優人生を語る上で欠かせないのが、90年代後半以降のカルト的傑作群における異様な存在感だ。その筆頭が、石井克人監督による1999年の伝説的カルトムービー『鮫肌男と桃尻女』である。
浅野忠信演じる鮫肌を追う奇妙な殺し屋たちの中で、彼女が演じた山田三井子役の怪演は圧巻だった。かつての清純派・美少女モデルというパブリックイメージを粉々に打ち砕き、シュールでアヴァンギャルドな世界観に完全に溶け込んでみせた。振り切った演技の奥底にあるエレガンス。その落差に、映画ファンは再び彼女の底知れぬ才能を思い知らされたのだ。
彼女はインディペンデント系の現場や挑戦的なアートハウス映画をこよなく愛した。大作映画の脇役で無難に収まるよりも、作家性の強い監督が放つ尖った表現の共犯者になることを好んだ。その結果、彼女が出演した作品群は、単なる懐古趣味にとどまらない強烈な強度を放ち、今なおカルト的な人気を誇っている。