欧州を震撼させたムーア人の正体!教科書が隠す覇権と文化の真実
スペインの国民的英雄として知られるエル・シッドことロドリゴ・ディアス・デ・ビバール。彼を巡る英雄叙事詩は、長らくキリスト教徒がイスラム勢力を駆逐する聖戦のシンボルとして称えられてきた。だが、当時の歴史書を丹念に紐解くと、まったく異なる現実が見えてくる。
「シッド」という尊称自体、アラビア語の「サイド(主君)」に由来する。彼はキリスト教諸国の王に仕えただけでなく、サラゴサのイスラム君主(タイファ)に雇われ、同胞であるはずのキリスト教軍と刃を交えることも厭わなかった。宗教的な境界線は決して絶対的な断絶ではなく、生存と権力を巡るプラグマティックな同盟と裏切りが日常茶飯事だった。レコンキスタは一枚岩の「聖戦」などではなく、多文化が入り乱れる混沌としたパワーゲームだったのである。