京都宇治の異境・萬福寺が放つ明朝の祈りと最新特別拝観の全貌
萬福寺を語る上で欠かせないのが、隠元禅師が伝えた本格的な普茶料理(ふちゃりょうり)の存在だ。「普(あまね)く衆人に茶を供する」という名の通り、身分の隔てなく一つの円卓を囲み、大皿に盛られた精進料理を分け合って食べる中国伝来の様式を守り続けている。
胡麻豆腐をはじめ、野菜や海藻を巧みに使って魚や肉に見立てる「もどき料理」、植物油を効果的に用いた揚げ物など、当時の日本には存在しなかった調理技法が凝縮されている。滋味深く、見た目にも華やかな普茶料理は、単なる食事ではなく仏教の調和の精神を五感で受け取る体験そのものといえる。