孤高の峰とファインダーの記憶:中島健郎が切り拓いた登攀の真実
中島は一流のクライマーであると同時に、傑出した山岳カメラマンでもあった。NHK BSプレミアムをはじめとする数多くのテレビ番組で、彼が捉えた映像はお茶の間に計り知れない衝撃と感動を与えてきた。
彼が担当した山岳ドキュメンタリーの撮影現場は、想像を絶する過酷さだった。他の登山者が自らの登攀だけに全神経を集中させる中、中島は重い4Kカメラやドローンを担ぎ、先回りして岩場に身を乗り出しながらファインダーを覗く。寒さで指先の感覚が失われる極限状態でも、光の角度や被写体の心理状態を繊細に捉え続けた。その山岳映像制作への情熱が生み出した映像美は、まさに芸術の域に達していた。