最後の晩餐でユダはどれ?天才ダ・ヴィンチが仕組んだ見分け方
新約聖書の福音書に記された場面を紐解くと、イエス・キリストは「わたしと一緒に同じ鉢に手を浸した者が、わたしを裏切る」と告げている。壁画を注意深く観察すると、イエスの左手とユダの右手が、テーブルの上にある同じ皿へと同時に伸びていることがわかる。
美術史の観点から見ても、この「手の動きの同期」は極めてスリリングな演出だ。予言の成就を視覚化しつつ、ユダの犯行が宿命であったのか、それとも自由意志による背教だったのかという神学的な難問を投げかけている。悪意と悲劇が交錯するこの一瞬の描写にこそ、西洋絵画史が到達した心理描写の頂点がある。