摘便とは?介護職ができる範囲や安全手順・命に関わるリスクを徹底解説
摘便とは、手袋を装着した指(主に示指)を肛門から直腸内へ挿入し、自力で排出できなくなった硬い便塊を用手的に分割・掻き出す医療処置です。臨床では「デジタルエバキュエーション」とも呼ばれ、重度便秘と宿便の排泄ケアにおける最終手段として位置づけられています。
便秘へのアプローチとして一般的な「浣腸」と摘便には、明確な役割の違いがあります。
浣腸は、グリセリンなどの薬液を直腸内に注入して腸管壁を刺激し、蠕動運動を促して排便を誘発する処置です。便がある程度柔らかい場合や、自力で押し出す筋力が残っている場合に有効となります。
一方、直腸膨大部に巨大で石のように硬い便塊(糞便塞栓)が栓のように詰まっている場合、浣腸を行っても薬液が奥まで届かず、注入した液だけが逆流して排便に至らないケースが多発します。こうした自力排泄や薬剤による排出が不可能な段階において、物理的に栓を解除するために摘便が選択されます。