好きと言えない恋心に刺さる「素直になれない曲」の隠された本音
平成から令和にかけて、このジャンルを決定づけてきた第一人者といえば宇多田ヒカルだろう。彼女が生み出してきた楽曲の数々は、恋する胸の痛みをただ嘆くのではなく、言えない言葉の裏側にある人間の複雑な孤独を浮き彫りにする。制作秘話として有名なのは、スタジオ録音時にあえて完璧な発音を崩し、ため息のようなニュアンスをボーカルに残したことだ。あの唯一無二の歌声に込められた切ない本音は、言葉にならない想いをそのまま歌に吐き出した証拠でもある。
一方で、Z世代を中心に絶大な支持を集めるあいみょんの楽曲制作における裏エピソードも興味深い。彼女の歌詞に登場する主人公たちは、みっともないほど素直になれず、天の邪鬼な言葉ばかりを口にする。インタビューなどで明かされている通り、彼女は男目線・女目線の双方から「本音を言ったら関係が壊れてしまうかもしれない」という極限の恐怖を描く。装飾を削ぎ落としたソングライティングこそが、日常の片隅で身もだえする若者たちのリアルな感情を打つのだ。