老化を巻き戻す奇跡の分子?長寿遺伝子を呼び覚ますNmnの全貌
この分野の扉を力強く押し開けたのは、2人の傑出した科学者だった。老化研究の世界的権威である今井眞一郎(ワシントン大学教授 / 老化制御研究)らの研究チームは、ワシントン大学(Washington University in St. Louis)において、マウスを用いた画期的な実験結果を発表した。高齢マウスにNMNを継続投与したところ、運動機能や代謝能力、インスリン感受性が若年期と同等レベルまで劇的に改善したのだ。
一方、デビッド・A・シンクレア(ハーバード大学教授 / 遺伝学)が率いるハーバード大学医学大学院(Harvard Medical School)のチームは、血管内皮細胞の若返りや筋組織の耐久性向上を次々と実証した。シンクレア教授自身が日々のルーティンにNMNを取り入れていることを公言し、世界的なベストセラーとなったLIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界(プロジェクト・著書)のなかで「老化は病気であり、治療可能である」と高らかに宣言したことは、知的好奇心に満ちた大衆や投資家たちに強烈な衝撃を与えた。
研究の舞台はすでに実験用マウスからヒトへと完全にシフトしている。世界的権威を誇る学術誌Nature Aging(学術ジャーナル・メディアプラットフォーム)をはじめ、米国立医学図書館プラットフォームのPubMed(米国立医学図書館プラットフォーム)には、ヒト臨床試験に関する査読付き論文が連日のように登録されている。単なる動物実験の域を脱し、ヒトの生体内で実際に起きる変化が厳密なプロトコル下で検証され続けているのだ。