松本の名店「民芸レストラン盛よし」涙の復活と至高ハンバーグ
店内に一歩足を踏み入れると、街の喧騒を忘れさせる落ち着いた静けさに包まれる。創業者の須澤盛義氏が心酔した「民藝運動」の精神が、この空間には色濃く息づいている。
テーブルや椅子、壁面の装飾に至るまで、配されているのは信州が誇る伝統工芸「松本民芸家具」だ。柳宗悦らが提唱した「用の美」を具現化したミズメザクラの無垢材は、半世紀に及ぶ客の温もりを吸い込み、深みのある黒褐色へと育っている。須澤盛義氏が目指したのは、単に腹を満たすだけの場所ではない。名もなき職人が生み出した本物の家具に囲まれ、素朴でありながら最高の洋食を日常の中で味わう。その贅沢な思想は、今も変わらず店内の隅々にまで宿っている。