伝説の名作はなぜ消えた?モスバーガー歴代メニューと復活の真相
日本のファストフード史において、最もアグレッシブな挑戦のひとつとして語られるのが、2003年に登場した「匠味(たくみ)」シリーズです。
当時、外食産業全体はデフレの真っ只中にあり、大手競合チェーンが「平日半額バーガー」を展開するなど低価格競争が激化していました。そんな逆風のなか、モスバーガーは単品580円〜1,000円超えという前代未聞のプレミアムバーガー「匠味」を市場に投入したのです。
十勝産和牛パティ、長野県産信州みそを使った特製ソース、陶器の平皿に盛り付けてフォークとナイフを添えて提供する店舗まで現れるなど、そのクオリティは完全に高級レストランの領域でした。テレビ番組や雑誌でも連日特集され、グルメバーガーという概念を一般層に根付かせる決定打となりました。
しかし、あまりの調理手間の多さと特殊な食材調達ルートの維持が難航し、2008年頃までにシリーズは徐々にフェードアウト。採算面での苦戦はあったものの、このとき培われた「国産高級素材の扱いとパティ成形技術」は、のちの「とびきりハンバーグサンド」や「新とびきりバーガー」へと確実に受け継がれています。