なぜ塀から落ちた?ハンプティ・ダンプティ不気味な起源と真実
この壊れやすい存在の正体をめぐっては、歴史家たちの間で血生臭い仮説が幾重にも交錯している。最も有力視されているのが、1648年の清教徒革命(イングランド内戦)におけるコルチェスター包囲戦にまつわる軍事史の逸話だ。
王党派が教会の塔の上に据え付けた巨大な大砲。その通称こそが「ハンプティ・ダンプティ」だったと伝えられている。議会派の激しい砲撃によって塔の土台が崩落した際、巨大な砲身は地面へと叩きつけられ、泥の中に沈んだ。いかに屈強な騎兵隊(王の馬と家来たち)が駆けつけようとも、その巨砲を再び城壁の上に引き上げることは物理的に不可能だったのだ。
一方で、肥満体型で悪名高かったヘンリー8世を当てこすった政治風刺劇であるという説や、背中の曲がったリチャード3世の劇的な敗死を嘲笑う暗号だったとする声も根強い。いずれにせよ、児童文学の無垢なヴェールの裏側には、権力の失脚と戦争の火薬の匂いが濃厚に染み付いている。